報酬付与申立書全文とそのウソ


成年後見人に対する報酬付与申立書 平成30年12月3日

申立の趣旨

 申立人に対し,平成29年2月3日から平成30年12月3日までの間の成年後見人の報酬として,成年被後見人の財産の中から相当額を与えるとの審判を求める。

申立の実情

1 申立人は、平成29年2月3日家庭裁判所において,成年被後見人の後見人に選任されました。

2 申立人は,平成29年2月3日から平成30年12月3日までの問,既に報告したとおり成年後見人としての職務を行ってきました。

3 よって,この間の職務に対する報酬として相当額を付与されたく,この申立をします。ただし,期間の長さとしては,平成30年10月31日までの期間の範囲で算定していただければ十分であると考えています。なお,亡父の遺産分割協議等により,成年被後見人の財産の維持増殖に努めたこと,後見支援信託を利用することで,成年被後見人の財産を安全にしたこと等を考慮していただければと考えます。


報酬付与申立書に見えるT弁護士の2つのウソ

 申立の実情3の後半部分に「成年被後見人の財産の維持増殖に努めた」とあります。

 被後見人の普通預金残高を確認すると平成29年9月末は普通預金残高約310万円(平成29年11月㏠付報告書)。そして平成30年12月末での残高は約380万円である。1年3カ月の間にわずかに70万円しか増えておらず、その内遺産相続の収入が約63万円なのでたったの7万円しか増えていないのである。しかも遺産相続の手続きはすべて私が行い、T弁護士が行ったのは押印のみである。通常毎月2~3万円ほど預金が増えているのに、15カ月間7万円しか増えていない。それなのにどうして増殖に努めたと言えるのか。むしろ増殖を妨げたと言うべきである。

 また、私が遺産分割協議書を法務局が示してある様式のとおり作成したものをなぜかT弁護士は自分の様式に書き直した。何か費用が求められることにならないか尋ねたらそういうことはないとの答えだった。しかも書き直したものには転記ミスがあり、私が指摘して訂正させていた。わざわざ遺産分割協議書を書き直したのは報酬がねらいだった。

 「後見支援信託を利用することで,成年被後見人の財産を安全にした」について

 そもそも22ケ月にも及んだ理由は、T弁護士が普通預金残高が500万円に達するまで後見支援信託を利用しないとしたことが原因だった。それには18年以上もかかる。ということは、T弁護士の決断は、18年以上もの長い間被後見人の財産を危険にさらす決断だったということである。60歳を超えている被後見人にとって18年以上ということは死ぬまでと言ってもいいほどの長い期間である。また、T弁護士が信託の手続きに要した22カ月の間も危険にさらされていたということになる。

 

 T弁護士は行った仕事は、被後見人の財産を信託に預けたというだけで、それは裁判所とのやり取りを除けば通常数日でできる簡単な仕事である。それなのにT弁護士は22カ月もの長い時間をかけたのである。極めて非効率的な仕事ぶりであり、その間、被後見人の財産は信託に預けることによって守られることなく、危険にさらされていた。

 さらにT弁護士は、18年以上(被後見人にとっては死ぬまでと言える)信託をしないで後見人として居座るという異常な決定をしていた。それは被後見人にとっては信託に預けることができないまま長期間に渡って財産を危険にさらすだけで何の利益にもならず、T弁護士にとっては総額500万円にも及ぶ報酬を得ることになるため被後見人に膨大な被害をもたらす極めて悪質な決定であった。

 なお、後見制度支援信託は後見人による被後見人の財産の不正利用を防ぐために信託銀行に預けることによって守るしくみである。信託銀行に預けてこそ守られる。

 要するにT弁護士はあえて信託に預けずに被後見人の財産を長期にわたって危険にさらした。このことは被後見人の財産管理という自らの任務を放棄したに等しい。

 よってそのようなT弁護士への報酬が発生するのは極めて不合理であるため、T弁護士への報酬額の決定の再算定を求めたい。