家庭裁判所へ上申書提出 2020.9.14

上 申 書

令和2年9月14日

〇〇家庭裁判所所長殿

                                                        〇〇市〇〇〇丁目 -

                                                              電話080-****-****

                                                                  〇〇〇〇

 

 平成30年12月*日付、「成年後見人に対する報酬付与申立書」(関連事件番号 平成29年 (家)第**,**号後見開始の審判申立事件)に対する報酬額の再検討をお願いいたします。

 

 私は被後見人〇〇〇〇の兄で、弟がもし死去した際には法定相続人となるため、今回の件で弟の財産が不当に被害を受けていた疑いがあるので上申いたします。私が真に被後見人の兄であることについては、平成31年3月に家事事件閲覧謄写を許可いただいたことなどで確認できると思いますが、もし何か書類が必要であれば改めて提出いたしますのでよろしくお願いいたします。

 弟の後見制度支援信託の利用にあたり、私は兄として、平成30年1月以来、「弟の普通預金残高が500万円に達するまで信託の手続きをしない」と言うT弁護士に対して、その必要はないのですぐ信託の手続きをするようお願いし続けてきました。

 T弁護士は、平成29年2月3日から平成30年12月3日まで22カ月もの長い間、成年後見人を続けたのですが、その結果行ったことは、弟の財産を信託銀行に預けたことだけです。遺産分割協議もありましたが、実際は相続人の私がすべての書類を準備したもので、弁護士が行ったことは署名捺印だけでした。それでは、どうして財産を信託銀行に預けるだけのことに22カ月も要したのでしょうか。そうせざるを得ないような事情は弟には全くありません。

 弟は60歳を過ぎても健診でも何一つ異常が見られない極めて健康な体の持ち主です。月々10万円の収入と7万円ほどの支出という安定した生活を、現施設に入所依頼40年も続けているごく普通の障害者です。財産を信託銀行に預けるというたったそれだけのことに22カ月も要したうえにその報酬として約60万円もの高額な金銭を支払う理由は弟には全くありません。

 つまりすべてT弁護士が意図的に無意味に先延ばしした結果22カ月もの長い期間を要したのです。この22カ月はT弁護士が自分で作り出した22カ月で、被後見人は全く何も関与しておりません。

 そもそもT弁護士は、弟の財産を守るために選ばれたはずなのに、たかだか信託銀行に財産を預けるだけのことに約60万円もの経費を支払わされるのは極めて理不尽です。

 

 T弁護士が後見人を務めた22カ月間の概要は次の通りです。

  平成29年2月 T弁護士が財産管理担当の専門職後見人になる

  平成29年4月 T弁護士が親族後見人に初めて連絡する

  平成29年8月 T弁護士が親族後見人から約1000万円分の定期預金通帳を受け取る

  平成29年11月 普通預金500万円になるまで信託を手続きをしない旨の報告書提出

        (普通預金残高308万円)

  平成30年2月 T弁護士が長引いた期間についての報酬辞退を約束

  平成30年4月 遺産相続手続き、代償分割で627,000円を弟に(普通預金残高438万円に)

  平成30年4月 施設の課長が「普通預金に500万円必要」と言った発言を撤回

  平成30年8月 施設所長・寮長も普通預金には200万円あれば十分と認め、謝罪

  平成30年10月~11月 信託の手続き

  平成30年12月 T弁護士が報酬として585,552円を弟の口座から引き出す

        (普通預金残高380万円)

 

 報酬付与申立書でT弁護士は、報酬付与の「期間の長さとして、平成29年2月3日から平成30年10月31日までの範囲」と申し立てています。実際より33日だけ短くしているだけです。しかし、報酬が発生すべき期間は信託の手続きをした平成30年10月~11月で、平成29年2月~平成30年9月は信託の手続きを正当な理由なしに先送りした期間であるから報酬は発生させるべきではないと考えられます。下記のとおり、すべてT弁護士の自己都合と他人の発言の利用によって信託の手続きが先送りされたもので、弟の状況によるものでは全くありません。すべてT弁護士によって生み出されたものです。先送りしなくてもすむ方法はいくらでもあったにもかかわらずT弁護士は唯一先送りすることを選択しました。したがってその代償は被後見人が負うべきではなく、それを生み出したT弁護士自身が負うべきではないでしょうか。もし他の弁護士が担当していれば平成29年4月には終えていたはずです。

 以下に信託の手続きをどのように先送りしたかについて①~⑤の期間にわけて詳しく記します。

 

 ① 平成29年2月~3月(自分が後見人になったことに気づかなかったから)

   T弁護士が専門職後見人になったのは平成29年2月3日だが、約1000万円の弟の定期預金通帳を送るように親族後見人に電話したのは4月に入ってからです。平成30年1月17日、T弁護士はその理由について「自分が後見人になったことに気づかなかったから」と私に話していました。

 

 ② 平成29年4月~8月(親族後見人の申出があったから)

   約1000万円の預金通帳を受け取るのが平成29年8月になったのは親族後見人の申出を受け入れたからとT弁護士は平成29年4月28日の報告書で報告しています。しかし親族後見人は送付する不安がなんとなくあったから聞いてみただけでぜひそうしてくれと頼んだわけでも何でもありません。また、その際月3万円ほどの報酬が発生する可能性があることはT弁護士は伝えていないし、親族後見人はそのことを知りませんでした。弟の財産が5か月間で15万円も支払わされる可能性があることを親族後見人に教えてすぐに送付してもらう働きかけをするなどの措置をT弁護士はとりませんでした。そして実際にT弁護士はこの期間について報酬を請求しました。同上の報告書には「持参してもらうのが経済的」と書いてありますが、数百円の書留郵便料金で済んだのに、十数万円の報酬が発生したのです。また、持参することが「安全性に優れている」と書いているが、書留郵便がどれだけ危険だというのでしょうか。T弁護士は自らの報酬が増額されることになるから、親族後見人の申出を優先し、弟の財産を守ろうとしませんでした。すぐに送付してもらって信託の手続きを開始すべきだったのにそれを怠りました。

 

 ③ 平成29年9月~平成30年3月(施設の人が普通預金に500万円必要と言ったから)

   弟が入所している施設の課長が「普通預金に500万円必要」と言ったことに対して、この高額な金額について事実かどうか確かめることをしないまま、それが事実であるかのように裁判所に報告して信託の手続きを先送りしました。障害者だからという理由で入院時即座に500万円必要などという非常識な話をなぜT弁護士は疑いもせず、調べようともしなかったのでしょうか。調べれば、後に課長が撤回し訂正したとおり200万円もあれば十分だということは容易にわかったはずです。調べていればすぐ信託の手続きを開始できたのにT弁護士はあえてそうしなかったのです。弟の財産管理をする立場なのに、調べることもせず、信託の手続きを先延ばしにしたうえ、弟の財産を浪費する方を選んだのです。

 

  ※ 弟が3カ月入院した場合に必要となる経費見込み 合計1,256,200円

   <内訳>

    ・医療費  月35,400円(高額医療費制度を利用)×3カ月

      ・付添費用 1日1万円×90日

      ・ベッド、車いす購入代 15万円  ・その他雑費 10万円

   また、高額な医療費の支払いのための金銭は信託銀行に預けるべきもので、普通預金に500万円もの大金を残しておくことの必要性は全くなく、ただ弟の財産を危険にさらすだけであることからしても、後見制度支援信託の趣旨と真逆のことをT弁護士は行ったと言えます。

   平成30年2月6日、施設の課長はすぐに信託の手続きをしてほしいとT弁護士に電話で要望しましたが、それにもかかわらずT弁護士は応じませんでした。

   さらに平成30年4月6日、私がT弁護士に具体的にどのような場合に500万円必要になるのかを尋ねたところ、T弁護士は答えることができず、「言う必要がない」と全くかみ合わない答えを口にしてはぐらかしました。そしてその後も調べようとはしませんでした。もともと500万円など必要ないことをわかっていながら施設の課長の発言を理由にして進めていたとしか考えられません。

   「後見制度支援信託の仕組みに沿った信託商品を提供している金融機関一覧」(裁判所)によると、みずほ信託銀行の最低受託額は1円以上です。仮に500万円本当に必要だとしても、みずほ信託銀行を利用すれば800万円を信託に預けることもできたはずなのにT弁護士はあえて500万円貯まるまで先延ばしする方を選択しました。平成30年4月13日、800万円を信託にしない理由を尋ねたのに対してT弁護士は「それも可能だが、そうしない方がよいと考えた」と回答していました。

   また、T弁護士が普通預金が500万円になるまで信託にしない判断をしたのは平成29年11月1日付の報告書です。親族後見人から預金通帳を受け取ったのは平成29年8月9日なので、この判断をするまでに3カ月近くもの長い期間を要していました。

   普通預金に500万円必要だと主張し続けたT弁護士は、平成30年12月、弟の普通預金残高は380万円しかないまま辞任しました。弟の普通預金に500万円必要だというのが間違っていたことをまさにT弁護士自身が証明しています。

  

 ④ 平成30年4月~7月(忙しかったから)

   平成30年3月16日、T弁護士は遺産相続が終わったらすぐに信託の手続きを開始すると私に言いました。4月25日に電話したところ何もしていなかったので再度催促した時にはゴールデンウィーク明けに開始すると答えました。ところが、7月12日に電話した際「忙しくてまだ何もしていない」と言ったのです。その後7月18日にようやく弟の定期預金の銀行を回ったようです。したがって遺産相続が終わった4月4日から7月17日まで3カ月以上の間T弁護士は何もしていなかったことは明らかです。

   平成30年4月に作成した遺産分割協議書において相続した遺産はほとんど売れる見込みのない土地で、評価額から単純に計算した63万円という代償分割の金額は実勢価格とかけ離れた金額でした。それでも協議書を作成した翌日に63万円を被後見人の口座に振り込んだのは、弁護士が平成30年3月16日に相続が終わったらすぐに信託の手続きを開始すると言っていたからです。しかし7月に電話したところまだ何もしていないと言われ、私は騙されました。それでも最終的に長期化した分についての報酬は辞退すると言っていたので、私は被後見人が損害を被らないのであればと我慢していました。しかし、最終的には報酬を辞退することはせず、私は再度騙されました。

 

 ⑤ 平成30年8月~9月(ある弁護士にそう言われたから)

   T弁護士は金銭を1つの口座にまとめるという必要のない作業をして2か月もの期間を費やしました。平成30年7月12日、T弁護士は「定期預金を名義変更しようとしたところ、青銀ともめて時間がかかっている」と言いましたが、私が信託協会、信託銀行などに問い合わせたところ、名義変更して1つの口座にまとめることなどする必要はなく、そのメリットも全くないとの回答を得ました。このことをT弁護士に伝えたにもかかわらず、やめようとはしませんでした。T弁護士にこのような手続きをする理由を尋ねましたが、「信託の経験のある弁護士にそう言われたからそうしている」としか答えられず、理由は言えませんでした。

   また、A銀行ともめる理由もT弁護士が作り上げた理由によるものです。日常の支払い等に困るので施設側が普通預金通帳を長期間持ち出されるのを嫌うことをT弁護士は利用しました。A銀行の定期預金も普通預金もH支店のもので、施設から10分程度で行くことができるので名義変更するのにほんの数十分で済みます。ほんの数十分通帳を持ち出すのを施設側が拒む理由はないはずです。

   たとえ1つの口座にまとめるとしても、施設に預けてあるA銀行の普通預金通帳を借りて定期預金を解約して普通預金通帳に入金した後に、その口座に送金すればいいだけのことです。これもまたほんの数十分で可能だったはずです。

   1つの口座にまとめる必要はないし、A銀行ともめる理由もないのに、T弁護士はあえてそのような状況を作り出して信託の手続きを先送りしました。ごく普通にそれぞれの口座から信託銀行に送金すればいいだけのことなのにT弁護士はあえてそうしなかったのです。

 

 以上①~⑤のうち、被後見人の弟が原因で信託の手続きを遅らせなければならなかったケースは1つもありません。すべてT弁護士が自身の怠慢と他の誰かが言ったことを利用して先延ばししていたことがわかります。すぐに信託の手続きをして弟の財産を安全にすべきだったのにT弁護士はそれを怠ったと言えます。むしろこの期間に対して報酬を付与するのではなく報酬を減額すべき事例ではないでしょうか。

 報酬付与申立書には「後見支援信託を利用することで、成年被後見人の財産を安全にした」と書いています。ということは、利用するまでの間、財産を安全にせず危険にさらしたということです。就任直後に後見支援信託を利用すべきところを、被後見人に何の理由もないのに22カ月という長い期間をかけて行ったことは、制度の趣旨を無視して自らの利益のみを追求したとしかみることはできません。

 弟の財産を守ろうという気持ちが少しでもあったなら、このように無理な理由をつけて信託を先送りすることはしなかったはずです。1日でも早く信託銀行に財産を預けてあげることをまず第一に考えて行動すべきだったはずです。

 後見制度支援信託は被後見人の財産を守るためのものです。このような被後見人に何の理由もなく後見人の不手際によって生じる報酬額の増幅はその趣旨に反するものです。

 また、最高裁判所では、報酬額について期間ではなく行った業務の内容に基づいて決定すべきとの見直しがなされています。それはまさに弟には何の原因もないにもかかわらずT弁護士が無意味にただ先延ばししただけというこのような事態を憂慮してのことだと考えられます。

 今回の報酬額の決定について再度精査し検討していただきますようお願い申し上げます。

 

<添付資料>

資料1 平成30年12月*日付、「成年後見人に対する報酬付与申立書」

資料2 「後見制度支援信託の仕組みに沿った信託商品を提供している金融機関一覧」

                               (裁判所)

資料3 名義変更は必要かについてのみずほ信託銀行のメールによる回答文